スカイブルー発光を示す2CzPN の緩和速度の溶媒極性依存性

摘要

分子内電荷移動励起状態を有する熱活性化遅延蛍光（TADF）材料は溶媒の極性によって発光特性に顕著な変化が生じる。これを利用してTADF 材料の性質を調べることができる。我々も代表的なTADF 材料である1,2,3,5-tetrakis(carbazol-9-yl)-4,6-dicyanobenzene (4CzIPN)の光物性の溶媒極性依存性について調べ、例えば、最低次の三重項励起状態(T_1)から一重項励起状態(S1)への逆項間交差速度は溶媒の極性にほとんど依存しないこと、S_1 から基底状態(S0)への非輻射緩和速度は溶媒の極性とともに大幅に増加することなどを報告している。本研究ではスカイブルー発光を示す1,2-bis(carbazol-9-yl)-4,5-dicyanobenzene (2CzPN)について同様の評価を行い、4CzIPN と比較した。この2CzPN では発光減衰曲線に3 つの指数関数成分が観測されており、高次の三重項励起状態(T_n)の寄与が明確に表れる特徴がある。