加熱温度を記憶できるハイドロゲルを用いた生体類似心臓手術シミュレータ

摘要

近年の医療の進歩に伴い，医師に求められる手術スキルや手術器具の高度化，複雑化が進んでいる．そのため医師の技術習得及びスキル評価のための手術トレーニングシステムの整備が求められている．従来の手術訓練には，バーチャルシミュレータによる方法，動物の臓器を用いる方法，臓器の形状・物理的特性を模擬した人工モデルを用いる方法，が提案されている．バーチャルシミュレータは新しい手術器具の登録に手間がかかる，動物を用いた方法はヒト臓器の再現が十分でない等の課題があるため，近年では形状や物理的特性を制御可能な臓器モデルの開発が盛んに行われてきた．さらに形状や物理的特性の再現に加えて，計測機能を搭載することで手術者の手術スキルの定量評価によるトレーニング効果の向上が期待される．