座席振動フィードバックを用いた油圧ショベル遠隔操作システム

摘要

我が国は、地震や火山噴火が発生しやすい地域に位置し、大規模な災害が多発することに加え、近年では台風や集中豪雨による土石災害も増加している。そのような災害現場において、安全を確保しつつ迅速に復旧作業を行うため、遠隔操縦の油圧ショベルが運用されはじめており、1994 年の雲仙普賢岳の除石工事を契機に、2016 年末までに190 件の無人化施工が実施されている。しかし、現在主流である油圧ショベルの遠隔操縦システムは、直接目視での作業あるいは油圧ショベルに搭載されたカメラや作業現場に設置したカメラからの映像をモニタで確認しながらの作業となり、実機搭乗と比べて4～6 割の作業効率と言われている。これは、モニタでの視覚情報提示における奥行感の欠如や、現場状況や機械状態といったオペレータが取得できる情報が少ないためと考えられる。より迅速な復旧作業を行うためには作業効率を向上させることが求められている。さらに、遠隔操作においては、実機搭乗時とは異なるコントローラでの操作となり、レバーが短く操作に敏感に反応しすぎるなど操作に慣れるまで時間を要するという問題がある。このため、現在の無人化施工現場では雲仙普賢岳等の復旧作業に継続して従事しているオペレータが主に対応している状況にある。