導電性を有するコイル状ナイロン繊維アクチュエータと角度増幅型関節機構を用いた拮抗駆動系の構築と制御

摘要

近年，ナイロン繊維から作製されるSCP (super-coiledpolymer) アクチュエータが開発された. SCPアクチュエータは，ナイロン繊維をコイル状にツイストしたもので，加熱すると収縮する特性をもつ.高出力重量比と高応答性を有しており，生物の筋肉に匹敵する性能がある．ナイロン繊維であるため,低コストで作製することができ，低コストロボットのアクチュエータとして応用されつつある.しかしながら,SCP アクチュエータの収縮率は10% ～ 20% 程度であり,収縮型アクチュエータに代表されるMcKibben 型空気圧人工筋肉の収縮率（30% 程度）と比較すると低い値である.そのため,大きな関節角度を得るためには,長いSCP アクチュエータが必要になる.そこで井出らは，小さい収縮量で大きな関節角度を得られる角度増幅型関節機構を提案した.しかしながら,井出らの論文では,拮抗駆動系にした場合のアームの駆動範囲,角度追従が可能であるか記されていない.本稿では,角度増幅型関節機構を用いて2 本のSCP アクチュエータを拮抗配置した拮抗駆動系の構築を行い,温度制御により，各SCPアクチュエータを駆動させ拮抗駆動系の関節角度の挙動を検証する．さらに，角度制御実験を行い構築した拮抗駆動系の関節角度の目標値追従性についても検証する.