第一原理計算によるZr添加AlNの圧電性に関する研究

摘要

ウルツ鉱型結晶構造を有するAlNは、高い Q 値と良好な温度安定性を持つ圧電体として知られており、通信端末用の FBAR 型BAWフィルタに使用されている。第5世代（5G）通信規格では、フィルタ性能のさらなる広帯域低損失化が要求されており、圧電性向上が課題である。これまでに様々な添加物による圧電性向上が報告されており、最も注目されているのが産総研の秋山らによって開発されたSc添加AlNである。 Sc添加による圧電性の飛躍的な向上が実現されたが、Sc 金属は高価であり産出国も限られていることから、代替元素が求められている。本研究では、ScNと同じ岩塩型結晶構造で格子定数が最も近い ZrN に着目し、代替元素としてのZr添加の可能性を計算機シミュレーションにより調査した。