埼玉県のニンニク栽培における病害虫について

摘要

埼玉県におけるニンニク栽培は，政府統計の総合窓口（e-Stat）によれば2004年から記録があり，当時の作付面積は 7ha,最新の2022年は同11ha,収穫量85t，出荷量46tと なっている（図1）.生産現場においては，ニンニクにおけ る病害虫の情報が不足したまま作付けされていると思われ， これまでに各地域において様々な被害が確認された.病害と してはウイルス病4種，春腐病，未同定の細菌病，乾腐病， さび病，黒腐菌核病が確認された.また，虫害としてはネギ アザミウマ，ネダニ類，イモグサレセンチュウ，チューリッ プサビダニが確認された.これらの病害虫による被害は生育 期だけにとビまらず，収穫時には健全に見えたものの，乾燥 および貯蔵中に症状が進行して被害に気付く事例も多い.多 発ほ場における被害は深刻であり，2019年には大きく減収 する産地もあった.また，複数の病害虫が同時に発生するこ とで，被害がより大きくなっていると考えられる.さらに， 症状の似たものもあり，診断と対策が難しくなっていること もある.以下，各病害虫の発生状況と対策について個々に述 ベる.