グラミシジンAによる脂質二分子膜を介した促進イオン透過機構の解明ーイオン半径と促進あるいは阻害の関係

摘要

膜を介したイオン透過は呼吸、代謝、神経伝達などのさまざまな生体反応に関わっている。 チャネルによるイオンの膜透過は膜を介したイオン透過の中心的な役割を演じている。 さまざまな脂質·タンパク質などで構成された生体膜は個々のチャネルの反応解析が困難なため、一般的には生体膜モデルである平面脂質二分子膜（BLM）やリポソームを用いてその特性が調べられている。 本研究では、水相中の支持電解質としてカリウム塩（KF，KCl，KBr，KSCN，KClO4）と塩化物塩（LiCl，NaCl，KCl，RbCl，CsCl）を用い、2分子で1つのチャネルを形成するグラミシジンA（GA）をBLMに添加したときのイオン透過電流と膜電位の関係を調べた。 イオン半径がイオン透過電流に与える影響を調べ、イオン透過における促進および阻害機構を検討した。