BN/Siヘテロダイオード太陽電池の試作に成功

摘要

ダイヤモンド的な構造のBN（sp~3-結合性BN）は、ダイヤの次に硬く、かつ不燃性であり、応用的に魅力のある物質です。しかしsp~3-結合性BNは、本来、高圧法により1万気圧·数千度程度の極端な環境の下で合成されるため、産業的な普及には不向きな面がありました。そこで、エネルギーの大きなイオンビームやプラズマ状態を利用したプロセスにより、原料のホウ素と窒素を含む気体から蒸着し、薄膜として作製する気相法が研究されてきました。BNを電子材料として用いるためには、結晶構成原子を置換する位置に微量不純物を導入（ドーピング）しなければなりません。これは高圧法では実現されており、仁科賞受賞の三島ら（NIMS）が紫外発光ダイオードを試作しています。しかし、気相法では、ダイヤモンド的な構造の実現とドーピングが背反する傾向があり、電子デバイスとして機能するBN薄膜の作製は難しいのが現状でした。