正しい利用とメンテナンスのために：軸受用センサの開発

摘要

近年，機械装置に対して，高効率化·高機能化·耐久性向上とともに，信頼性向上やメンテナンスフリー化の要求がますます増大している．この要求を機械装置の中でコンパクトに実現するため，軸の回転速度や回転角度を検知する，あるいは，軸受や機械装置の損傷を検知するといったセンシンク機能を軸受に内蔵したセンサ軸受に対するニーズが高まっている．センサ軸受を用途で分類すると，大きく自動車用·鉄道車両用·一般産業用に大別できる．各用途における技術動向を図1に示す．センサ軸受は，自動車のアンチロック·ブレーキ·システム(ABS)用の速度センサ付ハブ軸受が広く普及しており，NSKはパッシブタイプの環状センサ及びアクティブタイプの速度センサを取り付けたハブ軸受を製品化している．一方，鉄道車両では，軸に取り付けた歯車を利用した外付けタイプの車輪滑走検知用の速度センサが実用され，一般産業機械用途においても，速度や回転角度の検出ニーズが顕在化してきている．現在実用化されているセンサ軸受は，回転速度や回転角度の検出が主な機能であるが，今後は損傷モニタ機能を併せ持ったセンサ軸受や配線を省略できるワイヤレス化の要求が高まると考えられる．本稿では，一つのセンサきょう体内に複数のセンシング機能を内蔵させに軸受用マルチ·センシング·センサ，及びワイヤレスセンサの開発について紹介する．