正しい利用とメンテナンスのために：軸受性能のコンピュータシミュレーション技術

摘要

CAEという言葉が聞かれるようになってから久しい．研究開発や製品設計における技術計算の道具として，コンピュータはかなり以前から利用されるようになっているが，IT技術の急激な進歩に伴い，開発期間·設計時間短縮のための武器として，コンピュータによる製品性能シミュレーション技術は以前にも増して重要視されるようになっている．本稿は，NSKにおいて現在行われている，転がり軸受に関するコンピュータ解析技術について記すものである．既にNSKでは，転がり軸受運動解析プログラムパッケージを開発している．当時，これをBRAIN (BeaRing Analysis In NSK)と命名したが，その後それを拡張する形で種々のプログラムが開発されている．拡張の方向をひとことで記せば「軸受単体の解析から軸受周辺を含めたシステム解析へ」，「等温解析から温度予測可能なプログラムヘ」となる．現在では，これらの拡張されたプログラム群を総称してBRAINと呼び，当初BRAINと称していた部分はPACSという名称になっている（図1）．以下に，BRAINによる幾つかの解析事例を記す．さらに，NSKの解析技術を支えるもう一方の柱である，FEM解析技術についても簡単に触れる．