腫瘍内科の専門医制度日本の場合

摘要

がんは全身的，全人的な治療を要する疾患であり，その治療にあたっては腫瘍生物学から分子標的治療，緩和ケアまで幅広い知識と技術を習得し，がん薬物療法に精通した"がん治療専門医''が担うことが望ましい.すなわち，腫瘍内科とはこれらの幅広い知識をもった専門医によってがん医療が実践される診療科である.しかしながら，一般臨床においてがんの薬物療法を専門とする医師はきわめて少なく，わが国で抗がん剤治療が地域格差なく適切に行われているとは言い難い現状であり，がん専門医の育成はきわめて重要な課題である.