潰瘍性大腸炎とCrohn病は何がどう違うのか（1)免疫学的違いは？

摘要

炎症性腸疾患における疾患感受性遺伝子，免疫担当細胞とサイ卜力インの研究が行われてきた.Crohn病は自然免疫系異常によるTh1型応答，潰瘍性大腸炎はTh2もしくはTh17型応答が優位と考えられている. これらの免疫異常が異なる臨床像を呈する機序はわかっていない.炎症性腸疾患の免疫学的研究は，免疫担当 細胞とサイト力イン，疾患感受性遺伝子の探索を2つの柱として進歩してきた.特に最近で は，全ケノム連研究(genom-wide association study ： GWAS)の手法の導入によつて多く の疾患感受性遺伝子が報告され，その機能解析 を進めることによつて免疫学的機序の研究が同 時に進歩してきた.本稿では現在までに明らか になってきた炎症性腸疾患の免疫学的機序につ いて，特に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ： UC)とCrohn病(Crohn's disease ： CD)の差異 に着目して概説する.