高齢者炎症性腸疾患-難治例の治療は？ステロイドは使っていいの？

摘要

高齢者炎症性腸疾患は，症状が軽度で病状の進行も緩徐なことが多いが，状態が悪化すると若年 者よりも予後が悪い.高齢者炎症性腸疾患の治療では，不必要な免疫抑制治療を控える一方で，病状が悪化傾向になれば速やかに強力な治療を行う必要がある. 高齢者に対するステロイド投与は控えるほうが望ましく，特に長期投与は厳に慎むべきである.炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ： IBD)は20～30歳台に好発し，高齢患者は比較 的稀とされてきた.しかしながら，近年の高齢 化に伴い，高齢者IBDの患者数は増加の一途 を迎つている.それに伴い，日常診療において も，高齢のIBD患者を診察，治療する機会が 増加している.本稿では現時点での知見に基づ き，高齢者IBDにおける治療方針に関して解 説する.