新しい治療薬-CGRPとは？

摘要

カルシ卜ニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は，片頭痛病態で重要な役割を担っており，新たな 治療のターゲットとして期待されている.CGRP受容体拮抗薬は主に急性期治療として，抗CGRP抗体および抗CGRP受容体抗体は 予防療法として検討されている.片頭痛の急性期治療薬として登場した5HT(1B/1D) 受容体ァゴニストであるトリプタンは，片頭痛診療 に画期的な影響を与えたわが国においては， 2000年より使用可能となり，現在まで広く日常診療 で用いられてきている.しかし，トリプタンにもいくつ かの問題点が指摘されている.まずトリプタンはす ベての片頭痛患者に有効とはいえないことが挙げ られる.また，薬剤の使用過多による頭痛の観点か ら使用回数が制限される点に加え，胸部の不快感， めまい，傾眠などの副作用が生じることもある.さらに， 血管収縮作用を有するため，心血管障害や脳血 管障害の既往，コントロール不良の高血圧症の症 例には使用することができないことも挙げられる.