二十一世紀に求められるのは「植物源農薬」

摘要

世界に約三〇～四〇万種あるといわれる植物の多くは、熱帯から亜熱帯にかけて分布している。そのうち、食料や薬品素材原料など有用資源として利用されているものは、ごく一部しかない。そして、現在活用されている植物も、多くは食料品や保健薬の素材としてである。だが、植物を起源とした農薬的作用をもつ活性物質も、植物ホルモンや殺虫。殺菌怪物質などが古くから知られている。植物ホルモンとしては、アブシジン酸、ジベレリン、サイトカイニンやブラシノライドなど多くの化合物群が利用されている。殺虫剤としては、古くから使われてきた除虫菊の乾燥花に始まり、デリス属植物デリスの根の抽出物ロテノン、タバコの葉のニコチン関連化合物などの殺虫成分が、代表的な「植物源農薬」として利用されてきた。除虫菊の殺虫成分はビレトリン関連化合物であり、その構造から関連化合物が合成されビレスロイド剤として利用されている。タバコの殺虫成分ニコチンも、その構造関連化合物が合成され、強力なネオニコテノイド剤（アドマイヤー申ダントツ。スタークルなど）として開発。使用されている。