陳旧性顔面神経麻痺に対する神経血管柄付き薄層前鋸筋移植より自然な笑いの再建

摘要

陳旧性顔面神経麻痺においては広背筋をはじめとして様々な筋体が再建に用いられている。よりよい笑いをつくりだすために、複数の機能的ュニットに分割した再建が行われているが、神経束を刺激しながら分割する点で手技がやや煩雑となる。前鋸筋は単一の神経血管柄で複数のそれぞれ独立した筋体が採取でき表情筋のような多方向への再建が可能である点で、他の筋と比べて明らかに優位であるが、複数の筋束を用いた再建では筋体がやや厚く bulkyとなることが問題であつた。近年、前鋸筋が疎性結合組織の介在により浅層と深層の2層に分離できるという解剖学的研究が報告されたことに我々は着目し、薄層前鋸筋弁による表情筋再建を行ったので、その手技の詳細について報告する。