頭蓋底手術後の顔面神経麻痺の取り扱いについて

摘要

顔面神経は顔面表情筋を支配し、口を閉じたり目を閉じる という生命活動にとつて重要な動きのほか、構音や表情とい ぅヒトのコミュニケーションにおいても重要な働きをもって いる。解剖的な位置関係から頭蓋底病変すなわち側頭骨さら に前方に位置する病変、すなわち顎関節、側頭下窩、顔面、 鼻副鼻腔病変であつてもその扱いが常に問題となる。病変と しては側頭骨原発である聴器がんや側頭骨腫瘍があり、その 組織型として扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、横紋筋肉腫な どの肉腫、神経鞘腫、グロ一ムス腫瘍など良性から悪性まで 多彩な病変が発生する。また、顎関節、側頭下窩、眼窩、鼻 副鼻腔原発の良性?悪性腫瘍の手術でも顔面神経の扱いが問 題となる。本稿では頭蓋底手術のうち、外側頭蓋底手術(lateral skull base surgery)を中心に、術中、術後の顔面神 経の扱いについて解説する。