山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター

摘要

燃料電池は我が国の「エネルギー基本計画（第5次)」において位置づけが強調された水素エネルギー利用の中心的な役割を担うことが期待され、2018年に国立研究開発法人新エネルギー·産業技術総合開発機構（NEDO)は技術的課題を時系列に整理した「NEDO燃料電池·水素技術開発ロードマツプ」（以下、「NEDO技術マップ」という）を策定し、産学官による技術開発に取り組む重要性が示さた。その実現のため、燃料電池材料の革新的な研究開発により、低コストで高効率、高出力、高耐久な燃料電池の実用化が産業界から強く要望されており、そのためには、産学官の高度な連携を最大限に活用した研究開発を行うことが必要である。本センターは、燃料電池の本格普及に資することを目的として、山梨県および関係省庁の絶大な支援を得て、2008年4月に設立された。経済産業省、NEDOが委託するプロジエクト「劣化機構とナノテクノロジーを融合した高性能セルのための基礎的材料開発」（略称：HiPer-FCプロジェクト、2008年~2014年）、およびNEDOが委託する「セル'スタックに関わる材料コンセプトの創出/高出力· 高耐久·高性能燃料電池材料のコンセプト創出」（略称：SPer-FCプロジェクト、2015年~2019年）に採択され、反応や劣化のメカニズムに関わる知見並びにナノテクノロジ一等の先端技術の融合（HiPer-FCプロジェクト）や、触媒や担体及び電解質材料の新規創出とその機能を極限まで発揮させる触媒層の評価·解析を通じて、出力性能の向上-貴金属使用量の低減·耐久性の向上に取り組み、総合的効果で性能を10倍程度向上させる目標を達成（SPer-FCプロジェクト）してきた。