アジア地域の巨大都市の安全性向上に向けた大学附置研究所の取組み

摘要

東京大学生産技術研究所では，大学の研究機関として国際的な視野から都市基盤設備の整備と維持管理を含めた安全工学を研究する国際研究センターとして，都市基盤安全工学国際研究センター（ICUS，アイカス）を運営している。これまでに生産技術研究所で蓄積された研究成果を融合することで，アジア地域における21世紀の安全な都市の実現に向けて活発な研究活動を展開しており，研究課題は，「サステナブル・エンジニアリング部門」「都市防災・安全工学部門」「都市基盤情報ダイナミクス部門」という3分野にわたっている。 「サステナブル・エンジニアリング部門」では，構造物の材料から構造全体までの基盤設備等の経年劣化による構造安全性の評価と維持管理技術を開発するための研究を，「都市防災・安全工学部門」では，地震や洪水等による基盤設備の構造安全性ならびに災害時の使用安全性確保のための管理技術の開発を，「都市基盤情報ダイナミクス部門」では都市基盤に関するさまぎまな情報を常にモニタリングし，常時および非常時の都市基盤施設の安全な運用を確保するための動的制御技術の開発と評価を行っている。本記事では，アジア地域の巨大都市の安全性向上に向けたICUSの取組みを紹介する。