複数のトラス部材が損傷を受けた大規模トラス構造を対象とした逐次領域絞り込み法に基づく効率的損傷同定法

摘要

厳しい宇宙環境下で使用される大規模宇宙構造物には，宇宙塵（スペースデブリ）や星間物質（メテオロイド）などの異物衝突や経年劣化などにより様々な損傷が生じる可能性があり，ヘルスモニタリングにより安全性を確保することが必要となる．そのためには，これらの構造物の損傷を自動的に，短時間で効率的に把握する損傷同定法の開発が一つの重要な課題となっている．損傷同定に関する従来の研究では，構造物の振動特性の変化から損傷同定を行う方法が数多く提案されている．なかでも，計測された振動情報をもとに有限要素法を用いて損傷同定を行う同定法は汎用性も高く活発に研究されている．この有限要素法を用いた損傷同定法においては，損傷前後の剛性マトリクスおよび質量マトリクスの変化分，各要素の材料定数の変化分を直接求める方法が代表的な方法としてあげられる．その他の方法としては，制御理論を基礎として最適な固有ベクトルを損傷同定に適用した方法，各要素の材料定数を設計変数として感度解析をもとに損傷を同定する方法，動的残差力に基づき誤差ベクトルを最小とする最適化問題を解く同定法などもある．