トラクタ追突事故対策に関する北海道内の農業者の意識調査

摘要

2013年～2017年における全国のトラクタによる交通事故データによると，車両相互による死傷事故は828件発生しており，その衝突部位は真後ろからが44.4，右後方からが21.3と，合わせて65.7が追突事故となっている（国土交通省他，2019）。このことから，トラクタの公道走行においては，追突事故への一層の対策が必要とされている。特に北海道では，以前からトラクタへの追突事故が問題視されており，平成18年から道内関係機関が一体となって，「MMH（マナー·（低速車）マーク·保険）」運動（北海道農作業安全運動推進本部，2020）が展開されてきた。このうち低速車マークについては，現在は農研機構が実施する安全性検査においてトラクタへの装備が基準化されている（農研機構，2020）。また近年では，生産者が自主的に回転灯等の追加対策を行っている事例も見られる。一方で近年も，例えばブームスプレーヤを装着したトラクタが日没後に自宅まで走行中，乗用車に追突されて機体が道路左の水路法面に転落し，運転者が下敷きとなって死亡する等，追突による重大事故が引き続き発生しており（北海道農作業安全運動推進本部，2017），一層の対策に向けた現状把握が重要となる。そこで，追突事故対策の周知が進んでいる北海道内の農業者を対象に，トラクタ追突事故に係る対策の現状やニーズについて調査を行った。