原因不明の小児急性肝炎

摘要

2022年3月31日,スコットランド公衆衛生 局(Public Health Scotland : PHS)の Marsh らは原因不明の重症肝炎で入院した3?5歳 の小児5例を報告し,さかのぼった調査により 2022年1月1日以降に10歳以下の8例の追加 症例を入れて計13例が確認され,一般的なウ イルス性肝炎の原因は結果が得られたもは除外 され，5例の小児はアデノウィルスPCR陽性 であり,SARS-CoV-2を含む他の小児ウィル スが分離されたと報告した1)。そして世界保健 機構(World Health Organization : WHO)は 2022年4月になって,英国を中心に小児におけ る重症化した急性肝炎のアウトブレイクを警告 した2)2))。最初に症例を確認した英国の保健省に よると，2022年1月1日?4月12日に英国全 体で74例の小児の急性肝炎の報告があったが,多くの患児は黄疸,下痢，腹痛などの胃腸症状 がみられ，6例が肝移植を受けており,死亡例 は報告されていないということだった4)同省 は胃腸炎やプール熱(咽頭結膜熱)などを惹起 するアデノウィルスの関与が考えられるとし， 新型コロナウィルス感染，環境的な背景も含め て調査を進めた。また74例はいずれも新型コ ロナウィルスワクチンとの関連は否定されてい る。さらに飲食物や生活環境には共通点はみら れなかったという。