13.原因不明の間質性肺炎の経過中に汎発型膿疱性乾癬を併発した乳児例

摘要

【はじめに】汎発型膿疱性乾癬は乾癬の最重症型で,時に死亡例も見られる.成人では乾癬と間質性肺炎の合併がまれにみられるが,新生児?乳児での報告はない.【症例】在胎40週5日,体重2,884gで出生した男児.出生時より酸素化障害および胸部X線写真でびまん性の透過性低下を認めた.症状の改善がなく胸部単純CTで両肺にスリガラス様陰影を認め,間質性肺炎の疑いで日齢27に当院へ搬送された.先天性感染症,心疾患は否定されたため,遺伝性間質性肺疾患を疑い遺伝子解析を依頼したが,異常は認めなかった.肺生検も考慮したが,症状および生後6か月のCT所見が改善傾向のため行わなかった.一方,生後2か月頃より間擦疹が現れ始め,外用剤治療を行うも再発を繰り返した.難治であるため生後6か月で皮膚生検を行い,膿疱性乾癬と診断された.その後.高熱とともに全身の潮紅および膿疱の多発を認め,汎発型膿疱性乾癬としてシクロスポリン内服を開始した.生後7か月で退院し,治療を継続している.【考察】本症例では肺生検を行っておらず,両疾患の関連は不明である.しかし,どちらも稀な疾患であり合併は単なる偶然とも考えにくい.本症例は両疾患の関連および病態を考える上で興味深い症例であると思われた.