ホルモン依存性癌,特に前立腺癌に対するDDS製剤の進歩

摘要

前立腺癌は欧米の男性において最も頻度の高い癌であり,癌死数では第2位である。 近年,わが国においても患者数が急増している。 前立腺癌の多くはホルモン依存性であり,その治療においてホルモン療法の果たす役割は大きい。 ホルモン依存性癌におけるdrug delivery system (DDS)導入の典型例として,黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)徐放性注射剤の開発があげられる。 本剤は高酒性LH-RH誘導体の1か月あるいは3か月間徐放性薬剤で,前立腺癌ならびに乳癌の治療剤として広く用いられている。現在,酢酸ゴセレリン徐放製剤と酢酸リュ-プロレリン徐放製剤が市販されている。 本剤の開発から臨床応用までの経緯を,その主な対象疾患である前立腺癌を中心に概説した。