乙乙ろの宝さがし:こぼした涙が、暗闇に光を灯す

摘要

大仏建立に託した願い:コロナ禍は世界中に、あまりにも大きな痛手を与え続けています。これは前代未聞のことではなく、かつて私たちの先祖もまた、同じ道を通ってきました。暮らしが脅かされると不安が広がり、人は諍い傷つけ合います。疫病、飢饉、争乱。今のような医療も社会保障もない時代に、人々が頼ったのは「祈り」でした。1300年前、奈良の人々が行きついたのが大仏建立です。当時、仏教は大陸から伝えられた最先端の信仰でしたから、超特大で金ピカの仏像に願いを託したのです。それから今に至るまで、大仏さまは壊れるたびに作り直され、東大寺は絶えることなく国家鎮護を祈り続けています。人知を超えた大きなカで、人の手に余る大きな災厄を払ってもらいたい。仏像の大きさは、苦難の深さそのものなのです。