カビ毒分析の新しい前処理方法　－イムノアフィニティーカラムー

摘要

カビ毒は，カビが産生する二次代謝産物で，発ガン性をはじめ肝機能や腎機能障害などをもたらす毒性物質の総称である．アフラトキシン（AF），オクラトキシン（OT），デオキシニバレノール，バツリンなどが知られていて，食品衛生上重要な問題となっている. なかでもアスペル務気属のカビが産生するAF は，その長期的な摂取によって肝臓ガンを引き起こすことが明らかになっている（IARC による分類：グループ1）．また，大量摂取することによって重篤な肝機能障害を引き起こし，最近では2004 年にケニアにて患者数317名，内125名が死亡するという深刻な食中毒の原因となった．AFには食品衛生上重要な AFBl，AFB2，AFGl，AFG2があり，最近ではこれらの複合汚染が増加しているといわれている．他に AFBl の代謝物でミルクを汚染するAFMl がある．AF を産生するカビは熱帯地方に分布しており，これらの地域から輸入されてくる食品はAF汚染の可能性がある．汚染リスクの高い食品には，香草科，ピーナッツ，木の実，コーン，カカオ，はと麦，そば，胡麻などが挙げられる．