腹腔鏡下に修復しえた成人Bochdalek孔へルニァの1例

摘要

患者は22歲，男性.上腹部痛，暱気を主訴に当院を受診した.胸部X線検査で左横隔膜の 挙上と左肺野の胃内ガス像を，CTで左横隔膜にヘルニアを認め，左胸腔へ拡張した胃の脱出が認め られた.以上より成人Bochdalek孔ヘルニアと診断し，腹腔鏡下に手術を施行した.脱出した臓器の 腹腔内への還納とヘルニア門周囲の剝離およびメッシュを用いた修復術を行った.術後経過は良好で あり，術後5日目に退院した.術後8か月を経過した現在，再発を認めていない.Bochdalek孔ヘル ニァは新生児に発症し治療されることが多く，成人例は稀とされている.今回，Bochdalek孔ヘル二 ァに対し，メッシュを用いた腹腔鏡下修復術を施行し，良好な経過を迪つた1例を経験したので報告 する.