海綿-共生細菌系の化学防御機構

摘要

日本近海に生息する海綿動物からはハリコンドリンBなど医薬品リード化合物として重要な化合物が数多く見出されてきた。同時に海綿二次代謝産物の多くは、海綿に共生する微生物が生産することが長年疑われている。そのため、海綿二次代謝産物の生合成遺伝子を特定し、その生合成機構の解明、ならびに生産菌の同定が可能となれば、異種発現や生産菌の培養方法を確立する上で必須の基盤的知見が得られる。しかしながら、海綿動物には多種多様な微生物が共生しており、その多くが難培養性であることが予想されるため、生産菌の同定はおろか、特定の二次代謝産物の生合成遺伝子の取得すら、いまだ困難な状況にある。