序文

摘要

肺がんに対する薬物治療は,近年急速に進 歩しており,一昔前と比較すると肺がんの予後 は大きく改善している。特に肺腺がんに対し ては,EGFR, ALK, ROS1, BRAF, MET, TRKなど多くのドライバー遺伝子変異が発見 され，それぞれに対応する薬剤が開発され臨床 応用されている。RET, KRAS, HER2などを 標的として近い将来に市販されると期待される 有望な薬剤も複数存在する。また，免疫チェックポイント阻害薬の効果 にも大きな期待が寄せられている。従来の抗 PD-1/PD-L1抗体に加え，抗CTLA-4抗体 抗体も肺がんに対して承認された。抗PD-1抗 体と抗CTLA-4抗体の併用，さらに化学療法 と抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用がー 般臨床でも使用可能となっている。ドライバー 遺伝子変異を標的とする分子標的薬は，対象 となる遺伝子変異がある患者に対しては，高率 にその高い効果を発揮する。しかし,薬剤によ り違いはあるものの2?3年以内に耐性が出現 する場合がほとんどである。