テーラーメイド癌ペプチドワクチン療法の解析と実用化へ向けて

摘要

ペプチドワクチン療法は，細胞傷害性T細胞が抗原認識するメカニズムの解明を報告されてからすでに18年となり，われわれが行っているテーラーメイド癌ペプチドワクチン療法の臨床試験では8年間に500症例を得ている。 他にも多くの研究者がペプチドワクチン療法の確立をめざして，それぞれが同定したペプチドを用いて臨床試験を行っている。 これまでのいずれの試験においてもペプチドワクチン療法の安全性を示すことができているが，ペプチドワクチンはいまだ薬剤としての認可を受けることができないでいる。 癌ワクチン療法の開発をめざす研究者らほ，有効性の証明とそれを容易にする代替マーカーの確立という共通の問題も有している。 癌細胞は多くの抗原が発現されており，研究者らはそれらのなかのごく一部の抗原に対応するペプチドを用いて小規模の臨床試験を行ってきた。 しかしながら，臨床的有用性を証明するには大規模な試験の実施が必要となる。 ペプチドワクチン療法のコンセンサスと共通の困難克服のための一助となることを期待して，われわれが行ってきた臨床試験の経験について報告する。