核上性眼球運動障害

摘要

核上性眼球運動障害は,水平方向と垂直/回旋方向に分けて考えると理解しやす い.ただし，眼球運動系にはsaccadic systemとvestibular systemがあるため，それぞれに ついて水平方向と垂直/回旋方向を考える必要がある.例えば水平方向の場合,saccadic system は前頭葉から下降して脳幹で交差し,反対側の傍正中橋網様体(PPRF)から外転神経核に 至る経路を，vestibular systemは前庭神経核から交差して反対側の外転神経核に至る経路を 念頭に置き，実際の眼球運動障害を分析する.垂直方向も同様に，内側縦束吻側間質核 (riMLF)から動眼/滑車神経核への経路，および前庭神経核から反対側の動眼/滑車神経核へ 至る経路を念頭に置く.ただし，水平方向と異なり，上方向(上転)と下方向(下転)が対称では ない点，および眼球回旋を同時に考慮しなければならない点に注意する.眼球回旋は複雑に感 じられるが，核上性という観点ではsaccadic systemもvestibular systemも基本となる回旋 パターンは共通している.