進行がんのアドバンスケア プランニングとその課題

摘要

わが国におけるがんの生存率は年々上昇しているが，進行がん(III期,IV期)についてはいまだ横ばいである.しかし,近年のがん治療の進歩は目覚ましく，ゲノム解析技術の進歩，分子標的薬の開発，免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大により，今後進行がんの5年生存率，10年生存率は延長することが予想される.それに伴い，がん治療の中止時期の決定は主治医,患者自身も判断することが困難になり，ACP (advance care planning)も予測していたものと異なることも経験することになろう.さらに，医療費の高騰化,介護者の高齢化は，ACPを行う上でしばしば問題となる.そこで，本稿では進行がん患者のACPを実践する上での,①高齢がん患者のACP,②独居または身寄りのない者のACP,③経済的な問題について触れ,最後に④国外におけるACPについて解説する.