出島表門橋 -400年の歴史に橋を架ける 計画編

摘要

出島は長崎県長崎市にある1636年に築造された人工島 である.鎖国時代，出島は日本と欧州を含めた海外との唯 一の接点であった.橋長わずか4.5mの組積造のアーチ 橋-出島橋-が，出島と長崎の街をつないでいた. 明治期 に入り1887~1889年にかけて行われた中島川変流工事 によって，中島川の川幅は5 mから30 mに拡幅され，出 島橋は消失した.その後明治30年から明治37年（1897-1904)にかけて行われた第二次長崎港湾改良工事によつ て，出島の南側が埋め立てられ，内陸化し島としての姿は 失われることになる. 出島は1922年に国指定史跡に指定 され，1951年には長崎市は2050年までに出島完全復元 を目指す出島復元整備事業に着手することとなる. 2013 年10月，出島表門橋および周辺整備設計プロポーザルが 行われ，（株)ネィ&パートナーズジャパンを含む設計JV が選定された.およそ3年間の設計期間の後，2017年2 月27日午前10時，5000人を超える見物客が見守るな か、出島表門橋は往時の出島橋があつた位置と同じ位置に 架設された.実に130年ぶりに出島と長崎市内（江戸町） が再びつながったのである.本稿では，計画編と実施編の 2つに分け，出島表門橋の設計内容とともに，どのように 架橋されたのかを詳細に報告することとする.