3次元計測法による顔面表情に伴う顔形態特徴の測定(2)－日本人大学生の社会的スキルと顔面表情との関係

摘要

本研究では，これまでの韓国人（上出ら），中国人（上出ら）の比較として日本人に注目し，顔面表情の特徴と社会的スキルの関連について検討を行った．表情変化の豊かさと社会的スキルの関連を検討した結果，スキルの高い人の方が表情の変化が大きいことが相貌学顔高で示され，また，口唇幅では特に女性においてスキルの高さが表情の豊かさと関連していることなどが示された．ただし，鼻根顔高では逆に，スキルの低さと表情の豊かさが関連しており，すべての顔面表情の部位でスキルの高さと表情の豊かさが正の関連であるとはいえないことが示された．これは韓国人（上出ら）や中国人（上出ら）と同様の結果であり，顔面の部位の中でも特にアクセントを付けて豊かに振舞う方がコミュニケーションがうまくいく部位とそうでない部位があることを示唆しているといえる．また，社会的スキルが顔のどの部位で判別されるのかを検討した結果，男性は女性よりもスキルが判別される部位が少ないことが示された．これは中国人と同様の結果であり，韓国人とは逆の結果であった．さらに，判別される部位が少ないものの，男性は顔の上部でスキルの判別がされる傾向がみてとれた．女性は目周辺の部位がスキルの判別に重要であり，これは韓国人，中国人と共通する結果であったといえる．