石油精製工場 重油流動接触分解装置における省エネルギーの実際

摘要

石油業界は昭和48年のオイルショック以降，省エネルギーヘの取り組みが活発となり，当社を始めとする石油連盟は平成2年対比で平成22年までにエネルギー原単位10％削減を自主的に設定し推進している（図1参照）．当所においても設備改造·運転改善により省エネルギーの成果を挙げて来た（図2参照）．主な例として，スチームトラップヘの空缶取り付け（放散熱削減）のように比較的簡単なものから，上位計算機を使用した安定化制御によるロスの低減，設備改造による機器の効率化を図るものなど，多種多様な改善を実施してきた．当所は所内必要電力を全て蒸気タービン駆動の発電設備でまかなっており，蒸気タービンから抽気される蒸気が各装置に供給されバランスしていた．しかし近年の省エネルギーによる低圧蒸気使用量の減少と，電力事業の規制緩和にともなう売電事業の取組みにより，所内の蒸気使用量に見合う発電量では電力が不足気味となった．従って電力需要が増加する夏場は低圧蒸気を大気に放出して必要電力を確保しているため，多大なエネルギーロスを招いていた（図3参照）低圧蒸気の回収は大規模な設備投資や新システムの導入が必要であり，早期解決は困難である．