TOC分析による製薬用水管理とリアルタイムリリース：オンライン型TOC分析計選定の注意点

摘要

平成23年3月24日に日本薬局方が改正になり、製薬用水の管理、特に精製水（PW）および注射用水（WFI）は全有機炭素（TOC）の測定が必須要件となった。一方、製薬用水の管理は多くの場合ユースポイントでのサンプリングと分析室での分析結果をもって製薬用として用いられることが多く、分析結果を待って製造に使用するには時間的制約が生じることから後付けでの分析結果のリスクを払って製造に供する例が多い。しかし、リアルタイムでの製薬用水の管理が可能になれば、そのリスクを負う必要がなく、安心して医薬品の製造が行える。このため欧米の企業の一部では、TOCを用いた製薬用水のリアルタイムリリース（RTR）を導入する企業が増えている。ここでは、オンライン型TOC分析装置について米国Lancaster研究所のJon S. Kauffman民らが行った研究の追試を基に、各種TOC分析方式による測定結果の考察を行うと共にGE Analytical Instruments （GEAI）社のTOC分析装置、Sieversシリーズの特徴を紹介する。また、製薬用水管理にオンライン型TOC分析装置を用いる場合の注意点を紹介する。