ESDガンのグラウンドへの接触放電に対する放電電流波形の不確定性

摘要

国際電気標準会議(IEC：International Electrotechnical Commission)では帯電人体からのESDを模擬した機器の耐性試験法（IEC61000-4-2）を定め，静電気試験器（ESDガン）の放電電流波形を具体的に規定すると共に，IEC推奨の電流検出変換器（ターゲット）に対する電流波形の校正を要求している．さらにESDガンを用いた機器への放電試験法を定めてはいるが，実際の試験に際してはIEC推奨配置での接触放電が必ずしもおこなえない場合がある．本研究ではこのような状況を想定し，機器筐体を想定したグラウンド（ターゲット）へのESDガンの接触放電に対する放電電流波形を種々の放電配置と試験電圧との関係において測定した．その結果，放電電流波形の立ち上がり時間と30nsと60nsでの電流値とはIEC規格範囲内であったのに対して，電流ピークはESDガンの放電配置によっては規格の公称値を20％も上回ることがわかった．