高窒素ステンレス鋼の研究の現状と動向：＜窒素によるニッケル省資源化を目指して＞

摘要

最近、窒素(N)を鋼中に原子の形で固溶させもことにより耐食性や強度を向上させた高窒素ステンレス鋼に関する研究が国内外で活発に行われている。 この高窒素鋼の特長のひとつに、Nによるニッケル(Ni)元素の省資源化がある。 Nは、Niと同様にオーステナイト相の形成元素であるため固溶Nの増加とともにNiを低減化あるいは完全にNiフリーの高窒素オーステナイト系ステンレス鋼を得ることができ、Niの代替元素としてのNの有効利用の観点からも注目されている。 本稿では、国内外における高窒素ステンレス鋼の開発の現状とその諸特性、並びに今後の展開を概観する。