天然ガスをベースとした水素社会への移行戦略（前編）

摘要

自国の資源量が底を突き始めた米国を始めとする欧米先進国や中国、インドといった発展途上国は、水面下で、化石燃料中で最もクリーンな天然ガス資源の争奪戦を始めている。わが国のエネルギー生命線と言われている中東や東南アジアからのシーレーンでの船舶の安全航行が不安視される中、年間にして6,000万トン以上をLNGの形で専用タンカーで輸入しているわが国は、最も脆弱なエネルギー安全保障体制の上に置かれているといっても過言ではない。 わが国は、近隣のサハリンや東シベリアに埋蔵された膨大な化石燃料の中で最もクリーンな天然ガス資源をパイプラインで直接輸入する体制を構築し、LNG購買交渉でも有利にビジネス展開する必要が叫ばれている。 北東アジアでは、日本がリーダーシップを取って、近未来はそのパイプライン·ネットワークを利用した再生可能エネルギーで製造した水素を輸送·配送し、究極のクリーンで持続可能な社会を構築する必要がある。