「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ対策マニュアル」について（解説）

摘要

コンクリートのひび割れ問題は「永遠の課題である」と言われ続けてきた。 しかし，従来の個別的，経験的な対応だけで，ひび割れ問題を解決することば困難といえる。 鉄筋コンクリート造建築物のひび割れは，さまざまな要因が複雑に絡むために，その抑制方法や制御方法は，未だに確立されていないのが実状である。 近年は，コンクリート構造物の大型化に伴う高強度コンクリートの利用などが増加してきており，コンクリートのひび割れを抑制·制御する合理的な方法の確立が強く求められている。 2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され，漏水に対しては10年間の瑕疵担保責任が求められている。 一方，鉄筋コンクリート造建築物における漏水とひび割れの発生は密接な関係にあるため，ひび割れは漏水の主要因の一つであると考えられている。 このような背景から，コンクリートに生じるひび割れは，社会的な問題へと発展してきている。