生体吸収性ステント用マグネシウム合金の腐食挙動に及ぼすECAP加工の影響

摘要

世界各国の死亡原因の中で虚血性心疾患が最も多くの割合を占めており，さらに過去15年もの間この傾向が続いている1）。このことから虚血性心疾患による血管狭窄への対策は重要であり，実際に血流確保のため医療機器の血管拡張ステントが用いられている。ステントの現行材料は主にステンレス鋼（SUS316L）である2）。ステンレス鋼製ステントはその優れた耐食性ゆえに，約6～9か月の必要な治療期間が終了した後も半永久的に残存してしまう。ステントが体内に残存し続けていると血管内で再狭窄が起きる恐れがあり摘出手術が必要となる。