伝統を土台として

摘要

左官工法は、土壁一つとっても我が国の中で長い歴史を積み重ねてきている。 この伝統的な工法を土台にして歴史ある寺社建築を中心に施工実績を積み重ねている㈱あじま左官工芸代表の阿嶋一浩氏に、現代に息づく左官についてお話をうかがった。 今左官は昔に戻り、磨きなどが盛hに施工されるようになってきたと思います。左官は回帰し、大津磨きや緊楽などの本当の基本に戻って見直されてきています。 淡路の久住毒さhもこれらの工法に注目していて、先日東京に来たとき、何で昔の工法に注目しているのか聞いたところ、「鰻鍛冶を大事にしたいから」という答えが返ってきました。 鏡鍛冶がいなくなってしまうと、我々左官屋も仕事ができなくなるということにみな気が付いていない、ということなのです。そして左官組合の講習会の席でも同じ話があり、参加者から、鰻は値段が高いため、鎮鍛冶よりみhなで大量に鏡を買えば、いくらか安くなりますか、という質問がありました。 久住さhの答えは「鎮鍛冶を育てていくために、皆さhあえて高く買ってください」というものでした。 鰻は手作りで饅屋がつけた値段ですから値切ったりせず、左官屋として鰻鍛冶のことも考えてください、という考え方です。 そこまで考えている左官屋はいないと思います。