スルホンアミドヘリセンオリコマーによる可逆的な非平衡系-平衡系化学反応と非平衡系分子スイッチ機能

摘要

化学反応は自然界に広く見られる重要な物質構造の変 化現象である。石炭は植物が長い年月をかけて脱水素芳 香族化して化学的に生成したと考えられている。遺伝子 発現あるいは細胞シグナル伝達などの生物現象は，多数 の化学反応が制御されて連動した高度な化学反応系に よって発現する。化学反応では，数百好mol~(-1)程度のエネルギーによって分子が結合の再配列を起こす。分子 は外部から熱，光，高反応性反応剤などのエネルギーを 与えられて活性化状態に変化し，ここから平衡状態に向けてエネルギー的にdown-hillの構造変化を起こす。化 学反応を理解することは，自然あるいは生物機能の理解 を進めることにつながる。また，人類は化学反応を制御 して必要な物質を作り出しており，医薬品，農薬，香料，構造材料，電子材科，液晶，食料などに利用している。有機合成化学は化学反応を組み合わせて有用な化学物質を作り出す行為である。