マグネシウム合金の材料特性と溶接プロセス：第3回 マグネシウム合金のレーザ溶接

摘要

マグネシウム合金は軽量でリサイクル性が高いことから構造材料への利用が注目されている。 溶接技術は，これら材料を用いる製品の製造においてコストダウンを図る多くの場面で検討されている。 レーザ溶接については高速で歪みの小さいことが特徴として挙げられるが，設備費が高く実例も少ないことから気軽な加工法とは言えない状況にある。 昨年，本誌でも「特殊材料の溶接」に特集されており，レーザ溶接部の評価や貴重な事例が紹介されている。 そこで，この連載の中では溶接に用いられるレーザと，薄板レーザ溶接の特性について紹介したい。 マグネシウム合金の小型製品は，ダイカスト法やチクソモールド法等のいわゆる金型鋳造法で製造されることが多いが，大型製品を軽量化するには金型の開発コストが販売量に対して見合わなくなってくる。 例えば，ノートパソコンの筐体や自動車の車体などは，プレス成型によって曲げ加工された薄板展伸材料を構造体として用い，これらを溶接することによって少量多品種生産が可能となる。 機能や品質だけでなく，工数が増す分だけ生産性も高める必要がある。 このような製品の溶接法としてレーザ溶接の可能性を調べてみた。