レーザによる表面処理鋼板の溶接

摘要

自動車のスリップ防止を目的として路面に散布される岩塩を主体とする凍結防止剤が自動車の腐食を大幅に促進する。 1980年代に欧米において自動車の耐食性ガイドラインが制定されて以来，亜鉛めっきを主体とする表面処理鋼板の使用比率が増加した。 くわえて，近年地球環境問題に関連して自動車の長寿命化のニーズから今後も適用の拡大が見込まれる。 しかし，表面処理鋼板をレーザ溶接すると，多量のスパッタが発生するため溶接治具や部材に付着することや光学系が劣化するなど溶接施工上の問題を有することや，また，品質面からは溶接部にブローフトールなどの溶接欠陥，継手強度が低下する等の問題を有することが知られている。 本稿では，表面処理鋼板のレーザ溶接におけるこれら問題点の解決に資するために欠陥発生機構について考察するとともに，スパッタ発生量，静的継手強度並びに疲労強度に及ぼす亜鉛めっき量の影響ならびに溶接欠陥策について概説した。 くわえて，レーザ·アークハイブリッド溶接法(Laser Focussed Arc Welding)でのブローホール抑制効果について述べる。