低濃度グルコース水溶液の非接触高分解能濃度測定に関する研究－複数波長を用いた旋光度測定によるアルブミン·グルコース混合液の濃度測定に関する研究

摘要

本研究は，糖類の低濃度領域での非接触濃度測定を目的としている.例えば，血液中のグルコース濃度を表す血糖値は，ブドウ糖負荷試験において140 mg/dL (≒0.14 wt%)を基準に糖尿病予備群とみなされるため[1]，この濃度を含む濃度範囲で正確な測定を行うことが必要となる.更に，近年非侵襲に血糖値を測定する技術の開発が求められている背景から，非接触に物質濃度を測定する意義は大きい.そこで現在，グルコース濃度変化に対して高感度である旋光度という物性値を用いた非接触·高分解能なグルコース濃度測定手法の開発を目指している[2].しかし，生体内には，旋光性を持つ物質がグルコースのほかにも複数存在する.これらの値も血糖値と同様，食事や生活習慣によって変化する.そのため，血糖値センシングを行うためには，これら複数の旋光性を持つ物質の中で，グルコースのみの旋光を取り出し，濃度を得る必要がある.そこで本研究では複数波長を用いた旋光度測定により，旋光度に影響を及ぼすと考えられる血清由来のアルブミンを含hだグルコース水溶液からグルコース濃度を選択的に測定することを目的としている.