高濃度トレハロース水溶液のソーレー強制レイリー散乱法を用いた拡散係数測定に関する研究: 過冷却状態を含む25.0°Cによる測定

摘要

トレハロースは二糖類の1種であり，ガラス状態で生体試料を保護する性質がありガラス転移温度が高く，室温を超えることから，トレハロースは生体試料の常温乾燥保存への応用が期待されている．生体試料を含むトレハロース水溶液を乾燥させ，ガラス化させる過程において，乾燥により試料表面は濃縮され，試料内部に濃度分布が生じる．この濃度分布が生体物質の保存に影響を及ぼすため，乾燥過程における試料内部のミクロな物質輸送現象を評価する必要がある．そのためには拡散係数の値が重要であるが，測定例は存在しない．そこで，本研究では幅広い濃度域におけるトレハロース水溶液の拡散係数の測定を目指している．