光応答単分子膜からの表面転写に基づく高分子薄膜およびメソ細孔シリカの光配向制御

摘要

光応答単分子膜への偏光照射で誘起された面内配向を転写することで，高分子（ポリシラン）薄膜の主鎖配向，さらにナノスケールの細孔方向が制御されたメソボーラス薄膜の作製ができることがわかった。 本稿で例として示したように，この効果は光配向は容易にマイクロパターニングへと適用することができ，種々のデバイス構築におけるプロセス選択の可能性を広げることとなろう。ここで対象とした物質は直接光学機能·電子機能においてその応用が期待されるものである。さらにメソポーラス薄膜については，配向した細孔内に種々の機能物質を導入することによる新規な配向性有機·無機複合ハイブリッド素子の構築，ナノスケールの孤立細孔を利用した量子効果等の研究，細孔の方向性を利用した物質移動や物質分離やマイクロチップ化などへの技術的な員献が期待される。 予備的であるが，この光配向ナノ空間を利用して色素を配向導入することも可能である。表面をアクティブな制御場として活用し，さまざまな物質·材料をハンドリングする方法論の展開は，今後も大きな拡がりをみせるものと期待している。