3月LPガスCPの季節的下げを原油が小幅に押し止めそうな情勢

摘要

サウジアラムコは1月31日，わが国の輸入関係各社に対してLPガスの2月CPをプロパン622ドル，ブタン62アドルとする旨，通知してきた。 前月比プロパンが47ドル，ブタンが42ドルのそれぞれ大幅値上げで，史上最高値をまたまた大幅更新した。 昨年10月に初の500ドル突破と報じたが，早くも600ドル台となってしまった。 1月には米国北東部の大寒波こそ収まったが，今度はロシア·東欧·中欧の大寒波。 ナポレオンもヒトラーも極寒の都，モスクワを，その寒さ故に征服することができなかったが，そのモスクワを襲った「100年に一度」の大寒波は，ロシアからの天然ガス供給に頼るヨーロッパ諸国をも震え上がらせてしまった。 "From Russia With Natural Gas"，現在ならジェームズ·ボンドもこう歌うかもしれない。 しかし，1月危機はそれだけではなかった。 イランの核開発再開と米国·イスラエルの反撃，ニジェール·デルタ解放連動によるナイジェリア石油施設攻撃と20万バーレル／日減産，パレスチナでのハマス政権の誕生と求心力なきポストシャロンのイスラエルとの対立，そしてイスラム文化と精神を逆撫でにした預言者ムハンマドの風刺画問題と言論の自由を楯にムスリム否定に走る西欧の原理主義的動き。かつてサミュエル·ハンチントンが論証した「文明の衝突」が迫る。 核を含む圧倒的な軍事力を駆使して「民主化」と「西欧的価値」を押しつけるブッシュに，イスラム世界が反発するのは当然だが，その反発は，核を武器として使用し何十万もの人々を殺戮した唯一の国アメリカにひたすら追随するだけの被爆国日本にも向けられる。日本の食とエネルギーのセキュリティ確保は第一義的に対米追従小泉外交からの脱却であることは最早明らかなことなのである。