OPEC生産上限据え置きで合意＝第137回OPEC定例総会＝

摘要

OPECは9月19日，20日の両日，ウィーンで第137回定例総会を開催，現行の生産上限2,800万バーレル／日を据え置き，今後原油市況が上昇した場合，総会を開くことなく，200万バーレル／日の増産余力を活用し，機動的に対応することで合意した。期間は10月から12月までの3カ月間。 この間市場の要請に応じ，いつでも200万バーレル／日の増産余力を使おうというもので，12月12日にクウェートで開催される臨時総会で市場動向を確認する。 総会開催前「50万バーレル／日の増枠合意」を予想する声が多かったのに対して，OPECが生産枠を据え置いた背景には，昨年6月の200万バーレル／日の増産合意以降小幅な増産合意が続いたことで，OPECの生産余力が低下，その結果，増産が逆に価格上昇に結びついてしまったという苦い経験がある。 したがって「供給は十分であり，需要を上回っている。 価格高騰の要因は消費国の精製能力不足にある」という認識に基づき，生産上限を据え置いたもので，生産枠とは別に200万バーレル／日の増産余力を機動的に活用することで市場の安定を図るというのが狙いだ。生産上限を据え置き，生産余力を温存した格好となったが，200万バーレル／日の余力はイラクを含hだもので，また，実質的にはその大部分がサウジに限られる。 しかもそれが重質油主体であるため消費国の期待に応えられるものではないとの見方が多い。 今総会でのOPEC据え置き決定は既に市場では織り込み済み。 OPECが200万バーレル／日の増産をちらつかせてもその実現性と有効性は疑問視されるところで，市況に与える影響が限定的であるのは明らかだ。 WTIはハリケーン「リタ」の接近で4ドル強急騰し67ドル／バーレルをつけた後，石油関連施設への被害が予想を下回ったことで62ドル／バーレル合に下落するなど乱高下している。